今回は山口線のSL列車「やまぐち」用12系客車の上京時の写真。前回のフェスタと同じ1989(平成元)年だ。
ネットで調べたが、このやまぐち号用客車がなぜ上京したのかは思い出せないままだ。
「時代」の姿
C57 1牽引(一時期C58 1も加わった)のやまぐち号は青のノーマル12系でスタートしたが、その後車籍復帰したマイテ49の連結のために12系も合わせてぶどう色+白帯になった。そしてその次の状態が今回の写真の姿。
「やまぐち」用12系(品川・1989)
レトロ調にリニューアルされたやまぐち用12系5両編成。最後尾からえんじ色「展望車風」、深緑「欧風」、ぶどう色「昭和風」「大正風」「明治風」の5両構成。全車窓割りの変更が行われ、車内もそれぞれのスタイルにリニューアルされている。
それぞれがその名の時代に造られた車両をイメージしているが、この不揃いでカラフルになってしまった編成は、バブル期の当時の「時代」を象徴したものとも言える。
「やまぐち」12系「展望車風」オハフ13 701(品川・1989)
オハフ13 701は「展望車風」。後に続く車両はいいのだが、この車両は「展望車」そのものなので「風」は不要に思える。
モデルは大正末期製のマイテ27000だそう。開放形展望デッキは柵が高いので、このデッキに立たないと「展望」は利かなそうだ。クロスシートは背もたれが高く豪華だが、やはり車内の見通しはよくない。
屋根上は冷房装置を連続形のカバーで覆い、二重屋根風にしてある。
「やまぐち」用12系「欧風」オハ12 701(品川・1989)
オハ12 701は「欧風」。車体は深緑で、展望車風同様金帯を額縁状にあしらっている。屋根上は「スーパーエクスプレスレインボー」のスロフ14のものに似たカバーが付けられ、屋根を高く見せる意匠になっている。
車内は展望車風よりさらに背もたれが高くなり、その上部にはステンドグラス。この車両は「セミコンパートメント」と紹介されていた。
「やまぐち」用12系「昭和風」オハ12 702(品川・1989)
オハ12 702は「昭和風」。ぶどう色に白帯の一等車風の塗装で、昭和初期製の車両を表現するためにリベットの表現がしてある芸の細かい車両。屋根上は5両中唯一手つかず。
室内は完全に中に入った写真を撮り忘れた様子。座席は見慣れたものに近いボックスシート。
「やまぐち」用12系「大正風」オハ12 703(品川・1989)
オハ12 703は「大正風」。ぶどう色一色で、木造風の飾り板が側板に付けられている。限界クリアのための裾絞りを無視したようなストレート車体に見えるが、ホントの裾部はさすがにえぐった形になっている。屋根は二重屋根風。
座席は昭和風と同じモスグリーンのモケットだが、こちらのほうが座りごこちが良さそうだ。
「やまぐち」用12系「明治風」スハフ12 702(品川・1989)
スハフ12 702は「明治風」。外見は屋根上も含めて大正風と変わらないが、スハフのため側面腰部のルーバー部は小窓が開いていて、裾絞りが見えている。
車内は日本の鉄道黎明期の英国製客車をイメージした革張り座席で、側窓の間にランプがあるのが特徴。
12系は分散電源方式のため、発電機付のスハフ(スロフ・マロフ)12が編成中に必須になる。給電は自車を含め6両まで可能なため、5連のやまぐち号用客車ではスハフは1両になっているが、予備電源車としてスハフ12 18が用意されていた時期もあった。
なお、このスハフ12が「702」なのは、すでにスハフ12 701が存在していたため。
これは「いこい」と名付けられた1両だけのジョイトレと呼べる車両で、車内は和風・洋風半室ずつに分けられていた。外装はノーマル12系の白帯を黄帯にしたシンプルなもので、山陰地区で客車や気動車と併結して使われたあと、気動車ジョイトレ「セイシェル」の中間車キサロ59 501に再改造された。なお、JR東海に所属した12系ジョイトレ「いこい」とは別物。
14系「サロンエクスプレス東京」・「やまぐち」用12系(品川・1989)
品川客車区で入れ換え中のサロン東京と遭遇。茶色の渋さではやまぐちが上。
さすがのルックスのため、やまぐち号用客車がテレビドラマのロケなどにも使用されたのを見たことがある。12系が存在しないような時代のSL列車のイメージで用いたようだが、このスハフ12 702のHゴム顔が堂々と写っていて、鉄道ファンが見たら興ざめなシーンだった。
実際は見ての通り、昭和46年製だ。色から昭和・大正・明治風のどれかの銘板だが、5両すべて1971(昭和46)年製。
「やまぐち」用12系(品川・1989)
となりのカヤ21は「カートレイン」の車両。
現在もやまぐち号用客車は写真の車両達が現役続行中。2005(平成17)年に車内外のリニューアルが行われ、全車ぶどう色+白帯へ統一、屋根上・外版飾り撤去、大正風オハ12 703の車端部展望デッキ化(室内形)・明治風スハフ12 702と連結順入れ換えなどが行われ、編成美を取り戻している。
展望車風オハフ13 701もC57 1同様転車台で方転していたのだが、大正風のデッキ化でその作業の必要がなくなった。
(右フレーム上部から入れるアルバムに、掲載した写真をカテゴリ別にまとめています)
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントは管理人が通知メールを確認後掲載可否の判断をします。
表示まで日数がかかったり、非掲載となる場合があります。
管理人はコメントへの返信必須のスタンスではありませんが、掲載した場合は「コメントありがとうございます」の意味がこもっていますので、予めご了承下さい。