外川駅から歩いて、海を目指す。デハ801のいる引上線の先へ続く道を進む。
外川周辺
総武線以来、海の近くを走っていながら海面を見ていない気がする。
駅からほどない位置で太平洋が見えた。
33年前に訪れたとき、駅の周りは人家しかないイメージだったが、それは変わっていない。
外川漁港。車の姿はあるが、人気(ひとけ)は少ない。
防波堤越しに海面を見る。自宅の近所で東京湾に触れられるが、内海の東京湾に比べ波が力強い。
小さな砂浜があった。駅ホームの看板にも「海水浴場」の表記はあったが、あまり銚子の海で海水浴のイメージがない。
海をしばし眺めたところで再び丘を上がる。往路とは違う道をカンだけを頼りに進むと、ハンバーグなんかを出している飲食店が建つ丁字路があり、そこを左折して進むと外川駅から一つ目の踏切に出た。
デハ800形(外川)
ご覧のように、機回しができる配線も車止めにより寸断されている。
これから外川行の列車がやって来るのだが、この時点であと30分ぐらいある。列車回数が少ないので、走行中の写真は増やしたい。
先ほどの店で食事をするのが時間帯的には最適なのだが、そうすると走行写真が撮れない…というか、店でゆっくりできない。
踏切の銚子方を見ると、次の踏切がカーブのたもとにあるのがわかる。食事はせず、あそこで順光で列車を撮ることにしよう。
次の踏切へまっすぐ進む道はなく、県道経由でテキトーに西側から回っていくと、件の踏切に到着。
あと20分ぐらいある…。少し余計に歩いて近くを一回り。外様が腰を下ろす場所はなく踏切に戻り、あきらめてただただ踏切脇に立って待った。木陰があったのが救い。
2000形(犬吠—外川)
緑の中からグリーン車。順光でいい感じで撮れました。
2000形(犬吠—外川)
湘南顔は相変わらず真っ暗。
犬吠駅
外川駅へは出ず歩いて県道を北へ進むと、犬吠駅の高いヤシの木が見えてきた。
途中、駐車場がいっぱいになっているそば屋があったが、混でそうなのでパス。
犬吠駅に接した踏切より一つ外川寄りの踏切を渡り、ホテルが複数並ぶエリアへ向かおうとしたら、渡った踏切が鳴いた。
油断した。慌てて戻る。
2000形(犬吠—外川)
踏切を渡る前…西側からなら後追いながら側面も順光で撮れたのに、けっきょく東側から側面真っ暗で架線柱も絡むという結果に。
2000形(犬吠—外川)
遮断が終わった踏切から、線路を真正面に見て撮る。奥の踏切は犬吠駅ホームに接している。
あらためてホテルが並ぶエリアへ向かう。
「食事だけでもOK」的な案内が見えたからなのだが、どうも撮影の効率を考えてしまい入るに至らなかった。
犬吠埼灯台を遠くに見つつ、反対方向の犬吠駅へ向かった。
(犬吠)
1990(平成2)年設置の立派すぎる欧風駅舎。無論、建設会社が経営に入ったときの産物で、関東の駅百選にも選ばれた。
しかしメンテナンスが行き届かず、現在ベージュになっている部分の絵タイルはボロボロとはがれ落ちた。
ヤシの木の下には飲食店に仕上げられた銚電デハ501と元相鉄モニ2022の廃車体があったが、こちらも朽ち果て放題になってしまった。海沿いの立地のための塩害が大きかったようだ。
一昨年ようやくお手入れがされ、ご覧のようにキレイになっている。廃車体はその一年前に解体されたそうだ。
(犬吠)
駅舎内はぬれ煎を始めとしたおみやげを幅広く置いた売店とトイレがある。
トイレを使って再び外に出たときに、「澪つくし号」のトロッコ車両・ユ101のミニチュアがあるのに気づいた。
NHKの朝ドラ『澪つくし』で銚子の街が注目されたのをきっかけに運行された観光列車だ。
犬吠駅近くには有名らしい回転寿司屋があり、なかなかの人出でここもスルー。もう食事は銚子駅前で摂ることに決めた。
(犬吠)
また列車はしばらく来ない。
次の君ヶ浜駅を目指し県道を再び歩いて進むと、草地を挟み、犬吠駅の「サイドビュー」にありつけた。
犬吠駅のホームは元日の初日の出見物客対応の臨時列車運行時に備えて長く造られているそうだ。臨時列車は外川までは行かず当駅折返しだとか。
あちこち撮りつくしたなら、このアングルで列車が停車しているところも撮ってみたい。
君ヶ浜駅
県道は線路に並行するものの、線路は間近に見えるわけでない、という距離。
途中に複数の踏切があるが、特に撮りたいアングルは見つからず。
(君ヶ浜)
線路が徐々に県道から離れていく感じになったところで、線路へ向けて続く道との交差点に出た。
その道に入って進むと、踏切のたもとに君ヶ浜駅があった。
(君ヶ浜)
道の脇に少しのスペースがあり、その向こうにタイル貼りの階段。そして、異様な4本の太い柱が並ぶ君ヶ浜駅。外側に駅名表記はない…感じだったが、見落としただけか?
この4本の柱もまた、銚子・観音・犬吠駅舎同様建設会社の残したもの。1990(平成2)年の設置当時は凱旋門にも似た三つ又のゲートになっていたが、老朽化により2007(平成19)年に上部が取り払われた。こんなに汚い状態で残すなら、柱も取っちゃえばよかったのに。
(君ヶ浜)
低く無骨なブロック塀とアーティスティックな床タイルの組み合わせが印象的なホーム。
時計とにらめっこし、この駅から銚子まで列車に乗っていくことに決定。 まずは外川行で列車が現れる。
駅近くの視界が開けたところへ行き、ズームで列車を狙う。
2000形(海鹿島—君ヶ浜)
こういうアングルは撮り慣れていないのが丸出しだな。
畑のストライプの先に同じ緑の車体というのは楽しいが、撮ってる時点で「あ〜、寄りすぎた、2両入れて撮りゃいいのに…」と後悔。引きで撮る勇気がないのだ。
列車は駅目前なので、流れるほどのスピードではなかったのも残念。
あとでいろいろ調べると、この駅間では西側からいい感じで撮れる場所があるようだ。
(君ヶ浜)
駅に戻り階段下のベンチに座ろうとして、初めて駅ネコに気づく。
先ほどから2人組の男性がいたが、どうやらこのネコの世話をしている方々の様子。話し込んでいたので割り込んで声をかけることはしなかった。
このベンチの脇には「猫小屋」やエサ入れが置かれている。
(君ヶ浜)
ホームから線路を挟んだ向こう側に出てきたコイツはとっても無愛想だ。
ネコたちを撮りながら時間をつないでいると、踏切が鳴いた。
2000形(君ヶ浜)
南北に近い方向で走るこの辺りではデハ2001の顔はずっとこんな感じ。若干上と運転台脇に西からの日が差して表情が出た程度。
2000形(君ヶ浜)
外川まで乗ったときと同じ車掌さんから車内で切符を購入し、車窓を楽しむ。
笠上黒生
海鹿島(あしかじま)、西海鹿島(にしあしかじま)は往復ともただただ列車で眺めて通っただけに終わる。
(笠上黒生)(sp)
スマホで撮った笠上黒生(かさがみくろはえ)駅舎。ホームは近年かさ上げでもされたのかキレイな足元となっているようだ。
上下列車がホームに停車して交換できる唯一の駅ながら、現在の定期ダイヤは1編成での運行。臨時列車が発生しなければ交換は見られない。
これも後で調べて知ったことだが、笠上黒生にはさきほどミニチュアで登場したユ101の本物が、本線から見えない側線に未だ留置されているらしい。いろいろな個人ブログの写真を見つけたが、今年訪れたという記事には出会えなかった。
2000形車内(sp)
列車には運転士・男性車掌のほか、女性車掌や観光案内係のおばさんなんかも乗っている。
おばさんは「この電車は元京王の車両です」など肉声でいろいろと案内するものの、窓が開け放たれた車内ではあまり声が通らない。
そんな中聞き取れたのが、本銚子駅付近から外川方面を向くと「緑のトンネル」が展開されている、という話。
(本銚子—笠上黒生)
スマホ撮影の写真2枚のとおり乗務員室の背中の立席スペースに立っていた私は、その風景をすぐ脇の貫通路越しに撮影した。
本銚子駅を跨ぐ跨線橋からのアングルで、いま乗っているグリーン車が通る画を撮ってみたいな。(つづく)
(右フレーム上部から入れるアルバムに、掲載した写真をカテゴリ別にまとめています)
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