JR兵庫駅前のホテルにチェックインし、しばしの休憩とカメラやスマホの充電を行って再び外出。
素泊まりのため外で食事をとるのだ。
板宿駅最寄りの店に行くことに決め、ホテルから兵庫駅とは反対方向に進んで神戸高速鉄道の大開(だいかい)駅に到着。
神戸高速東西線…ではなく
神戸高速鉄道は阪急・阪神・山陽・神鉄の4社が神戸市内でそれぞれのターミナル駅で止まっていたものをつないで近隣輸送の改善を目指して作られた会社。上記4社と神戸市などが出資する第三セクターだ。
駅入口には「阪神 神戸高速線」との表記があった。はんしん?…
神戸高速鉄道は車両を保有せず、線路と駅の保有・運行の管理を行ってきたが、2010(平成22)年10月1日より、線路と駅保有・運行管理も阪急・阪神・神鉄に振り分けられたそうだ。
その時点で、神戸高速鉄道東西線とされていた路線は元町—西代間が「阪神神戸高速線」、阪急神戸三宮—新開地間が「阪急神戸高速線」、神戸高速鉄道南北線は「神鉄神戸高速線」と名前が付けられた。
…上のいきさつは旅行後に調べた。そんなことは全く知らず、ナゾの「阪神」の表記に?マークが立ったまま駅に入る。
地元で通勤で使っているPASMO定期券で入場。駅員さんに確かめてからの使用ではあったが、ICカードの共通利用が各大都市圏に拡がりとにかく便利になった。
(大開)
無機質な大開駅のホーム。西代(にしだい)方はかなり狭くなっている。
この駅は1995(平成7)年1月17日発生の阪神・淡路大震災の際、駅構内の線路間の柱がほとんど折れてしまい天井が崩壊、上を走る国道28号も中央がV字にめり込み、まさに「大壊駅」となった。
造り直しが行われ、同年8月に線路が開通(駅は通過扱い)、震災から1年後の1996(平成8)年1月17日に駅の営業も再開した。
ちなみに山陽はこの日がダイヤ改正であった。
「高速線内では、今後は直通先の種別で案内します」という主旨の自動放送が繰り返し行われていた。
都営浅草線と似たようなスタイルになったということだ。
山陽3200系(大開)
どんな電車が来るのか楽しみにしていたら、山陽の鋼製車が登場。たった3両だ。これに乗車。
3000系のパノラミックウィンドウは両側とも桟があったと思ったが、この車両は運転台側のみ一枚窓になっている。
3621は3000系のTcで、後ろに続くM-Mcは2300系の機器を流用した3200系だそうだ。
ワンマン対応改造で、視認性確保のため運転台側の桟を廃止したそう。ホームのミラーを見るためということだろう。
3200系(板宿)
西代駅から山陽電鉄の線路となり、その次の駅が板宿(いたやど)。
再び乗った列車を撮影してから改札を出る。
LAWSON+friends山陽板宿ちか店(板宿)
改札を出て目に飛び込んだのは、山陽の新型車両・6000系を模したローソン。Pontaが運転士?
なお板宿駅は神戸市営地下鉄西神・山手線とののりかえ駅でもある。
目的の店で食事を済ませ、1時間後再び板宿駅に。
神戸高速線に入る各社の車両を撮る機会はこの日が初めてであり、ただ大開駅に還るだけではつまらないので新開地駅まで出ることにした。
5000系(板宿)
直通特急阪神梅田行。アルミ製の山陽5000系だ。
直通特急は阪神の梅田—山陽の姫路を結ぶ文字通りの列車。
3000系(板宿)
次は3両編成の普通列車と予告が出ていたので待ってみると、次に来たのはまたクリームの3000系。
こちらは運転台側の窓も桟がある。
山陽3000系(新開地)
3000系に乗り込み、終着の新開地に到着。
大開→板宿で乗った編成と違って、窓桟が黒く塗られているようだ。
ここまで、阪神神戸高速線なのに阪神の車両に全然会えていない。
阪急7000系(新開地)
中線には阪神ではなく阪急神戸線の7000系が到着。8連の先頭停車位置はホーム端ギリギリ。
かつては阪急も神戸高速〜山陽電鉄と進んで須磨浦公園まで乗り入れていたが、いまは新開地が西限となっている。
神戸電鉄
神戸高速線を撮るにあたり私が注目した車両は、山陽3000系トップナンバーと神鉄…神戸電鉄の1000系列だ。
板宿で普通列車を待ったのは前者が来やしないかと淡い期待を抱いたためだった。
神戸電鉄は新開地の隣の湊川駅が起点であるが、神戸高速南北線で新開地へ一駅延びて、阪急・阪神・山陽の電車とのりかえができるようになった。前述にように、湊川—新開地間は現在は神鉄神戸高速線となっている。
標準軌のほか3社と違って神鉄は狭軌のため、線路はつながっていない。
3社車両が来るホームからエスカレーターでコンコースに上がって右へ進むと、神鉄の頭端式2面3線ののりばがある。
神鉄では最新の6000系の姿が目に入ったが、残念ながらすでに発車していて駅を出て行くところだった。
神鉄5000系(新開地)
停まっていたのはこの5000系のみ。神鉄初のVVVFインバータ制御車で、車体は2000系と変わらない。
2000系が登場したとき、「なんで助士側だけ窓が溶け始めたようなデザインにしたのか?」と疑問に思った。窓割が半々ではなく非対称であれば、下辺が非対称でもあまり気にならなかった。
同じ例は西武新101系改造の秩父6000系でも見られるが、1編成が300系風のリバイバルカラー化された際はその気持ち悪い部分がこっそり解消(運転士側の窓下の白が多かった部分を黒に“復旧”)されていて面白かった。
神鉄5000系(新開地)
6000系が出て行った後に真ん中の線路に現れたのは5000系のラッピング編成「HAPPY TRAIN☆」。
関東でもそんな名前の車両があったが、こちらの方が先のようだ。
神鉄5000系(新開地)
阪急の車両を緑系にしたような内装。座席モケットはこの編成独自の柄。
神鉄5000系(新開地)
中間車は従来塗装がベースに残っている。車端には「乗って残そう未来の粟生線」の文字。
4年前から走っているこの「HAPPY TRAIN☆」は粟生(あお)線活性化協議会の取り組みの一つで、神戸芸術工科大学の学生の作品から選ばれた柄がラッピングされている。
神鉄5000系(新開地)
トップナンバー5001号。5002号に比べラッピングに赤みがないため、こちらのほうがノーマルの5000系からより離れた印象を受ける。
神鉄5000系(新開地)
5000系の停車中の電子音はいわば和音の感じで、さらに2本で共鳴している。
神鉄1100系(新開地)
4番のりばにようやく1000系列登場。テンションが上がる。
2ドア・ロングシートという、都市近郊の列車としては珍しい仕様。2両固定の1000系の3連版だ。
両先頭車デ1100形は前パンだが、はじめは暗くて視界に入らず上のような撮り方に。
神鉄1100系(新開地)
このステッカーで、ラッピング編成の写真のキャラクターが「しんちゃん」と「てつくん」と知る。
粟生線は沿線人口減少や競合の高速バスの影響で利用者数が低迷しており、赤字が続いている。
当たり前のように出てくる「乗って残そう未来の粟生線」は、そんな深刻な話がベースになっている。
神鉄1100系(新開地)
行先の志染は「しじみ」と読む。粟生線の途中駅で、志染—粟生間は日中は1時間ヘッドと本数が減少する。
(新開地)
準急の通過駅は新開地から3・4駅目の丸山・鵯越(ひよどりごえ)駅のみ。
乗降客数が少ないため停車を省略、という感じだ。さらに5駅目の菊水山駅は休止中で、営業当時から秘境駅として有名だった。
標高0mの自社の起点・湊川を出ると、長田(70m)丸山(95m)鵯越(134m)菊水山(173m)鈴蘭台(278m)北鈴蘭台(346m)とぐんぐん標高が上がっていく登山路線だ。
神鉄での最高駅は357mの有馬温泉駅。湊川から始まる有馬線の終点駅だ。
(新開地)
ついつい谷有三と横に読んでしまう。
谷上は新神戸から北神急行電鉄が7.2kmの山岳トンネルで直結しており、スルー運転の神戸市営地下鉄三宮は新神戸の次だ。一駅間で運賃は540円と高いことも影響して経営難となり、2002(平成14)年4月に鉄道施設を神戸高速鉄道に譲渡し上下分離方式に変わっている。
神鉄5000系(新開地)
昭和の2ドア車と平成のラッピング車。
神鉄1100系(新開地)
東西線ホームからののりかえ客が次々と駆け込んでから発車。
もうそれはステキすぎるモーター音を残して出て行った。(つづく)
(右フレーム上部から入れるアルバムに、掲載した写真をカテゴリ別にまとめています)
1 件のコメント:
こんばんは。
他所者の私には神戸高速鉄道の仕組みと各社の運転系統がさっぱり分からず、とても不思議な路線に映りました。
東京でも相互乗り入れがますます多く活発になり、複数社の車両が一つの路線を走る様子も増えましたが、乗り換えなく遠くまで行ける便利さの反面、土地勘のない人にとっては難解にもなることを実感したのがこちらでした。
趣味的には本当に面白いですね。
昭和の感覚の残る地下の鉄道、新開地も高速神戸も大きな作りになっていて、お写真のように様々な車両が見られます。駅にいて飽きません。
こちらを拝見させて頂き、関西の私鉄をもっと丁寧に旅してみたくなりました。
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