今回は1989(平成元)年の写真。
1989
東西線5000系は昭和30年代末期に登場した非冷房車。この頃になると、都心のJR路線や大手私鉄の車両冷房化率が高くなってきたが、営団はトンネル冷房を導入していたこともあり、車両冷房化は大きく後れを取っていた。
当ブログのこれ系の記事に頻出している話題だが、営団は駅どころか駅間のトンネルも冷房装置を付けて冷やしていたため、車両の窓開けによって夏場の涼感を得ることを推進した。抵抗制御車の発熱がこもるのが地下鉄の課題であり、トンネル冷房はその改善策だった。
たしかに暑さは和らいだが、バラストのないトンネル区間で窓開けをすると騒音がものすごく、風もあって髪がグシャグシャになることもあった。なので、車内は心地よい空間とは到底言えなかった。
さらには、明かり区間ではただの非冷房車になってしまうということ。自社線内に明かり区間が多い東西線はもとより、他の架線集電路線もみな他社への直通運転を行っていて、乗り入れ先ではなお不評となる。
5000系(原木中山・1989)
この年、予測もしなかった5000系冷改車が登場。
東西線は05系投入・5000系廃車により冷房化率を上げる流れにしたかったが、5000系が大量に在籍する状況から、05系新製だけは長期に渡り非冷房車が幅を利かせることになり、5000系にも冷房を積むことになったのだ。
写真の5829Fが最初の冷改編成。JRの通勤・近郊形と同じく、屋根上の機器を2台に分散した簡易冷改で、車内もダクトが2本天井に付いてものものしい雰囲気になった。
この最初の編成は帯が従来の色あせた状態のままになっていた(写真は絹目プリントのスキャン)。
5000系(原木中山・1989)
原木中山駅1番線ホームに入線する各駅停車。原木中山駅は「新幹線型」と言われる通過線を持つ駅で、快速列車の通過待ちが行われる。写真右の保線車両庫は現在は撤去されている。
5000系(原木中山・1989)
当時の10連は戸袋窓がある7両に戸袋窓がない新製中間車3両を組み込んだもの(写真左)が基本だったが、更新により戸袋窓を埋め込んだ車両(写真右)も存在し、10両すべてが戸袋窓なしで揃った編成もあった。
5000系(原木中山・1989.8)
これも戸袋窓埋め込み改造をされた車両(前4両)。先頭の5019はパンタグラフがきれいに撤去されている。
5000系(原木中山・1989)
こちら5030はパンタ台が残り、戸袋窓も健在。
5000系(原木中山・1989)
若番車は側窓の角のRが大きい。まるで国鉄103系や東武8000系のような変遷。またベンチレーターも若番車は薄い八角形のものがまっすぐ並んでいたが、のちの増備車両に合わせて写真の形の千鳥配置に変更されている。これは日比谷線3000系と同じ変遷。
5000系アルミ車・5000系(原木中山・1989)
7連の5950Fが10連の5803Fの快速の通過待ち。5950は北綾瀬に行くことなく廃車になった。
JR103系1200番台・5000系(原木中山・1989.8)
冷改・黄帯7連の過渡期スタイルの103系を横目に5000系非冷房車10連の快速が通過。103系には冷改時に付いた側面方向幕は、5000系に設けられることはなかった。
5000系(原木中山・1989)
原木中山駅2番ホームを出発し本線に合流する列車。妙典駅開業以降、原木中山駅での快速通過待ちは減っている。
5000系(原木中山・1989)
この時代は編成番号ステッカーはなかった。
5000系(西船橋・1989)
5000系冷改編成の2本目がこの5835F(だったと思う)。この編成は帯が彩度の高い鮮やかな色に改修され、黒Hゴム化もあって引き締まった感じになった。
5000系(西船橋・1989)
非冷房車との並び。帯とHゴムの色の差に注目。非冷房5830Fはベンチレーターが載っているが、冷改車は撤去されている。
5000系(西船橋・1989)
従来の帯はビスのアタマが三段に並んでいるのが見えた。側面は二段。
5000系(西船橋・1989)
この年のもう一つの変化が、JR区間対応のためのATS-Pの取付。乗務員室助士側に機器が載ったため、快速表示器が撤去され、方向幕が「快速」付行先コマを追加したものに取り替えられた。また廃止されていた英字表記が復活、漢字も大きく見易い書体に変更された。「地下鉄経由」の文字は快速の赤地部分に収められた。
JR301系・5000系(西船橋・1989)
この頃、中央・総武緩行線にステンレスの205系が投入されたことから、東西線直通用の301系・103系は青帯に変更された。「東西線は銀色の電車」と案内していた中野以西で誤乗の苦情が多発したためだ。同じくJRも冷改が進められ、このころはバラエティに富んだ車両群となっていた。
5000系(西船橋・1989)
雪の残る西船橋駅に停車中の5835F。冷改車は抵抗制御からJR205系などと同じ界磁添加励磁制御となり、発熱が抑えられた。ただ、5000系戸袋窓あり車の特徴的な「ウァ〜〜ア〜〜ン〜〜」というコンプレッサーの音(日比谷線3000系や京急先代1000形でも採用)も聴けなくなってしまった。新製戸袋窓なし車は「ゴゴゴゴゴゴ…」という別の音だった。
5000系(西船橋・1989)
非常に気持ち悪かったのが、新幕での地下鉄経由各駅停車のコマ。各停のコマでも快速の赤地の位置に「地下鉄経由」が置かれていて、「地下鉄経由」と「NAKANO」を合わせたかたまりが幕の中で左右センタリングになっていないのだ。どれだけアタマの硬いフォーマットなんだ? と思った。
(右フレーム上部から入れるアルバムに、掲載した写真をカテゴリ別にまとめています)
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